MicroPointの基本概念は、少なくとも、2002年までには既に完成し、2004年1月にWEB上で、一部ソースコードも含め、公開されています(RayCustom.net レンダリング大戦 )にも関わらず、その後、10年間、一遍の論文も執筆されることなく放置された理由の一つが私の怠慢であることは認めざるを得ません。その一方で、MicroPointの壮大な構想、理念を、たかだか数頁の論文で語ることは、ナンセンスという危惧がありました。更に、実装の問題として、2次レイ以降のMicroPintのエレガントな方法が思い浮かばないジレンマが、開発を頓挫させていました。

 最近の研究成果、例えば、Sphere HermonicsやVirtual Point LightによるGIへの取組みは、2次レイ以降のMicroPoint実装を直接行うことなく、GIを扱う有益な指針を与えてくれました。更に、幸いなことに、IAMAS1期卒業生である飯倉(旧姓:齋藤)氏が、MicroPoint実装を引継いでくれた結果、MicroPointは、今まで溜まっていた巨大なマグマを一挙に噴き出す機会を得ました。

 量子力学の発想に基づくMicroPointは、量子力学が、相対性理論を含む物理学を、”古典物理学”に追いやったと同様に、PhotonMapを含む従来のレンダリング研究を、”古典レンダラ”に追いやるポテンシャルを秘めています。

 そして、今後のレンダリング研究の王道が、MicroPointであると確信しています。

  ↳ GRALAB blog